土ミツ
※はじめにお断り...これは土ミツというカプに限った話であり、沖田姉弟視点は例外とします。また、人様の土ミツ作品を批判・否定するものでは決してございませんので、一腐女子の戯言としてお読み下さい。
突然の土ミツ話なんですが、まぁ聞いてください。
土ミツは数ある銀魂カプのなかでも私が最もデリケートに扱っているカプと言えます。何故なら理由はただひとつ。原作で、土方がミツバについて語っていないからです。(回想は除く) となれば、当人が語っていないものを外野に語らせるわけにはいかないという思いから、土方以外がミツバのミの字も語ることもできないと思っているんです。(沖田が弟として語るのはもちろん例外)
だから、例えば土銀の中で、銀さんがいくら事情を知っているからといっても土方より先にその名前を口に出すことはありえないと思っているし、土銀である以前に、彼を知る者として人として、安易に触れられる話題ではない。そう。触れないんです。
原作も、ミツバ篇は土方沖田のあの異常とも言える確執のほぼ全てが詳らかにされたエピソードにも関わらずその話数が短く、そして後日談もなく、非常にあっさり(語弊があるかもしれないけれど)終わっています。私としては、あの一件に関わったのが万事屋でなく銀時個人であることにも、その後一切語られていないことにも非常に意味を感じていて、この恋物語は以降一切の言及を許さず、ただ残された土方の胸にのみ生きているものだと思っているのです。実際、おそらく真選組の誰も、沖田へお悔やみは言えても、土方へは声をかけられなかっただろうし。そして銀時もこの一件のことはぱちぐらには話していないと思ってる。他言無用どころか、忘れてやるべきだとすら。すべてはあのラストシーンを見れば明らかですが…。
土銀にしろなんにしろ、土方ありきのカプを書くには避けては通れないミツバ篇。だって公式で語られてるから。銀魂唯一?の恋愛シリアスパートだったから。それでも私は、土銀を書くにしても、土ミツには触れられない。どうしても書けない。かろうじて書くとしたら、現パロで全く違う設定にするか、若しくは、顕著に遠慮する銀時をどうにかするために、土方本人の口から語らせるか。前者はまだしも、後者を書くとしても台詞には細心の注意を払うし、正直今考えてもちょっとやそっとじゃ納得のいく台詞は浮かばない。私も銀時も納得できなきゃいやだし、土方の口からどう語らせるかなんて、考えただけでおなか痛くなる。それこそもう、土方十四郎にしかわからないことで、そんなこと言っちゃうともういよいよ二次創作の域を出てしまうことになる。書けない。やっぱ書けない。と、なってしまう。
それくらい、土ミツは、私には手の出せない領域なのです。
ただ、逆に二次創作だからこそ許されているもの。それが「if」。
もしミツバさんが今も生きていたら。二人に幸せな未来があったなら。それを描いている作品は、現実をどうにもいじれない私にとっては夢のような世界で、幸福で、そして切ない。尊すぎて目がつぶれる…。
たとえば二人はいずれ一緒になって、そこに沖田もいる。沖田は神楽ちゃんと一緒かもしれないし、二人の仲をやっぱり邪魔し続けるのかもしれないけど、それって最高にハッピーじゃないか。誰とも一緒になる気のなさそうな、家庭を持つ気なんてさらさら無さそうな土方だけれど、彼女が生きていたなら或いは、と思わされる。それは近藤さんがお節介を焼きに焼いて、収まるところに収まった、というのかもしれないし、案外沖田が最後に背中を押したのかもしれないし、土方が唐突に腹を決めて、一緒になるならお前しか…とか言ったのかもしれない。私の中で彼女は土方より年上という謎設定があるので、案外尻に敷かれていてもいい。若い頃よりずっと正直に気持ちを伝えられるようになった土方と、沖田家の血で案外毒舌かもしれない適齢期をやや過ぎて嫁にいったミツバさんは、それはそれは気持ちのいい夫婦になるだろうと・・・
なんか切なくなってきたので「if」の話はこれくらいにします…;;;
誤解のないように言っておくけれど、私の中の「家庭を持ちそうにない土方」像は、決してミツバさんに義理立てしてるとかじゃありません。単に平凡な恋愛には縁がないのと、あとはミツバさんの手を取れなかった理由と同じ。幸せにしてやれない(と思っている)から。私の妄想に限らず、原作の土方十四郎像でも、きっとそうなんじゃないかと思ってる。
だけど、あんなに情熱的な男だよ。ミツバさんを、というか初恋を、その辺に転がっている縁と同格には並べないだろうな。彼は単に、手を取れなかっただけで、看取る資格を自ら放棄しただけで、ちゃんと彼女を守っていたよ。何も、恋仲になっていつも愛を囁いて、その腕に抱いて夫婦になって、添い遂げるだけが「守る」じゃないよ。彼女の何者にもなれなかったけれど、そうすることで守っていたし、自分自身の消えない想いと共に、両手いっぱいに抱きしめて、今でもぎゅっと守ってる。
彼が身体を張って、剣を振って守るものは近藤さんであり真選組であったかもしれないけれど、心の中には誰しも、何物にも侵せない領域がある。そこでなら彼は、武器も何も持たず、心ひとつで死ぬまで彼女を守り抜けるのかもしれないって思うんだ。