土銀SS 本誌ネタ含む二年後
2018年07月07日
置いてきただなんて思っちゃいない。待っているとも、あまり思わない。考えていることが全てわかるほど多くを語ってはこなかった。けれど奴らがどんな面をしやがるか、そんなこともわからないほど他人でもなくなってた。
ひとつに繋がった道は太く長く続くかに思えたが、やはり人にはそれぞれの生き方があるものだ。また再び道を違うことを、これまで想像しなかったわけでもあるまいし。
自分の人生に、自分以外の証人がいるだなんて考えもしなかった。だがあれだけバカをやってこれば、そんな人間の一人や二人、いて然るべきかもしれない。
俺とあの二人以外に、俺達の証人がいる。帰れとも、行くなとも言わないけれど、あいつは俺を見ていた。俺たちを見ていた。
背後から遠く、ばかたれが、と聞こえた。そうして塀を越え、2本の足で地面についた時、気づいたことがある。
あれから二年と少し。初めに再会した面がお前さんだったことだけは、想定外だったよ。
気づいたのだ。俺たちは、あの町で確かに生きていたのだと。こんなバカ達に見守られながら、三本の道がしょうもなくぐねぐねと重なったり離れたいりしながら歩いてきた。生きてきたのだ。でなければ、今俺はこんなところに立っちゃいない。
こうして今、二本の足で立てちゃいねぇだろうよ。