土銀SS 『 幾千の夜 』

2018年07月06日

 遠くで緊急車両のサイレンが聞こえた。

どこかで何かが起きたのだ。そしてこんな時間にも働いている人間ってのはいるもんだなぁ。ご苦労さんだよ、全く。

 見下ろすと、俺の長着と布団とに絡まって包まりながらうつ伏せで豪快な寝相を披露する黒い男。息をするたびに僅かに上下する背筋。惜しげもなく丸出しの締まった尻。枕に半分めりこんだ顔。半開きの口。乱れた前髪。整った睫毛。大好きな眉。愛しい体温。

 サイレンが遠ざかる。ああ、あと何度、お前とこうして。


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